医療保険の通院保障はいらない?必要性や選び方を解説

「医療保険の通院保障は必要なの?」「通院保障はどのように選べば良いの?」という疑問をお持ちかもしれません。

本記事では、最初に「医療保険の通院保障とは何か」を解説した後、「医療保険の通院保障が必要かどうか」をお伝えします。その後に通院保障の対象になる条件と金額、通院保障の基本的な選び方を説明するので参考にして下さい。

記事の後半では、請求手続きに関する注意点や、医療保険の通院保障以外の保障についても解説していきます。

本記事を読むことで、医療保険の通院保障について理解した上で、「実際に通院保障が必要かどうか?」を判断できるでしょう。

医療保険の通院保障とは何か

医療保険の通院保障とは、病院やケガで通院し、治療を受けた場合に給付金が支払われる保障です。一般的に入院を伴うケガや病気の治療に対して適用されます。

通院保障の給付金額や条件などは、保険会社や加入中のプランによって異なります。入院給付金が1日5,000円の保険であれば、通院給付金は1日3,000円というように、入院給付金の6割程度に設定されるケースが多いでしょう。

医療保険の通院保障の対象となるのは、主に保険契約でカバーされている入院後の通院です。入院を伴わない単なる体調不良などの通院は、一般的に保障の対象外となっています。

医療保険の通院保障は必要?

医療保険の通院保障の必要性について解説します。

入院日数は短縮される傾向

医療機関への入院日数は、全体的に短縮傾向です。

厚生労働省の患者調査によると、入院した人の約6割が10日以内に退院しています。また、2022年までの30年間で入院日数は10日以上短くなっています。

しかし入院日数が短くなっても、自己負担額は支払わなければなりません。生命保険文化センターの調査によると、入院時の自己負担額の平均は約20万円となっています。

入院日数の短縮に伴い、退院後の通院治療の必要性が増しています。入院給付金だけで不十分な場合、医療保険の通院保障を検討することが大切です。

出典:厚生労働省「患者調査の概況」

出典:公益財団法人 生命保険文化センター「2022年度 生活保障に関する調査」

退院後に通院する人は増加の傾向

厚生労働省の患者調査によると、入院患者数が減少している一方、外来患者数は増加しています。医療技術の進歩により、以前は長期入院が必要だった治療でも、短期入院や日帰り手術で対応できるようになったためです。

その結果、退院後の通院治療で対応するケースが増えています。このような医療環境の変化に伴い、通院治療の費用をカバーする保障の必要性が高くなっています。

出典:厚生労働省「患者調査の概況」

通院にはいろいろなお金がかかる

通院治療にはさまざまな費用がかかります。具体的には、バス代やタクシー代などの交通費、リハビリ代、薬代、外食費などです。

また、居住地や病気の種類によっては、遠方の病院に通院する必要があるかもしれません。その場合、交通費や滞在費が高額になる可能性があります。

通院期間が長期化すると治療費も増えます。通院のために仕事を休む必要があれば、収入の減少にも備えなければなりません。そのため、医療保険の通院保障が求められている状況です。

通院保障の対象になる条件と金額を解説

通院保障の対象になる条件と金額を解説するので参考にして下さい。

通院保障の対象になる通院とは

保険会社が定める条件を満たさないと通院給付金は支払われません。一般的に通院保障の対象になるのは、主契約の保障対象となるケガ・病気などで入院し、退院後も通院が必要なケースです。

基本的に入院を伴わない通院は対象外です。治療を目的としない「薬の受け取り」や「検査」も原則、保障の対象には含まれません。

通院保障の支払期間や日数について

通院保障の支払期間や日数は、加入する保険商品ごとに異なります。保障対象になる病気やケガの通院でも、無期限・無制限の保証ではないので注意して下さい。

一般的には、1回の入院に対して、退院後の一定期間内の通院が保障の対象になります。「退院後120日以内の通院であれば、最大30日間の通院保障が適用される」などの条件です。

自分のニーズに合った保障内容を選択するためにも、加入前に条件を確認しておきましょう。

通院保障の給付金額

一般的に通院保障の給付金額は、通院給付金の日額に通院日数を乗じて計算します。

具体的には、日額3,000円で通院日数10日の場合、3,000円×10=30,000円の通院給付金が支払われます。日額5,000円で通院日数14日の場合は、5,000円×14=70,000円です。

通院給付金の日額は保険商品やプランによって異なるため、事前に確認して下さい。

通院保障の基本的な選び方を解説

ここでは通院保障の基本的な選び方について解説します。

選び方1:保障条件

前述の通り、加入する保険商品によって保障条件は異なります。約款や契約のしおりなどに詳細が記載されているため、正式契約の前に確認しましょう。保険商品によっては入院前の通院も対象になります。

保障条件の不明点は保険会社・代理店に質問し、十分に理解した上で加入することが大切です。

選び方2:保障される通院期間

医療保険の通院保障は適用期間に制限があります。「いつからいつまで通院給付金が支払われるのか」「何回の入院まで対象になるのか」など、保障される通院期間を調べた上で、保険商品を比較検討すると良いでしょう。

一般的には、「1回の入院につき退院後120〜180日以内の通院で最大30日間」というケースが多いようです。

選び方3:給付金額

通院保障の給付金額は保険商品などによって異なります。通常は通院1日当たり3,000〜15,000円程度です。給付金額を決める際は、自身の経済状況や通院にかかる費用を考慮することが大切です。

また、給付金額が上がれば上がるほど、保険料も高くなるという点に注意しましょう。必要以上に高額な保障を選ぶと負担が重くなる可能性があります。自身のニーズと予算のバランスを考えながら、適切な給付金額を選択してみて下さい。

注意:保険金は請求手続きが必要

通院給付金を受け取るには保険会社への請求が必要です。しかし、一定期間にわたって継続して通院する場合、請求のタイミングが分からず、忘れてしまう可能性があります。そのため、通院の度に日付や治療内容などの記録を残し、数ヶ月分まとめて請求すると良いでしょう。

また、請求時に必要な書類は保険会社によって異なります。通院証明書のように有料の書類もあるため、事前に保険会社に確認して下さい。

医療保険の通院保障以外にもある!通院費用をまかなえる保障とは

通院費用をカバーする保障は、医療保険の通院保障に限りません。ここでは、代表的な保障を5つ紹介します。

医療保険の通院保障以外の保障1:就業不能保険

就業不能保険は、病気やケガが原因で働けなくなった際の収入減少に備える保険です。入院や通院を問わず、所定の就業不能状態になれば給付金を受給できるという特徴があります。

就業不能保険のメリットに保障期間の長さがあります。「60歳まで」「70歳まで」といったように長期的に保障を受けやすいでしょう。

また、給付金は毎月一定額が支給されるため、計画的に生活費や治療費に充てやすいというメリットもあります。

一方のデメリットは免責期間(給付金が支給されるまでの待機期間)の長さです。就業不能保険には60〜180日程度の免責期間があるため、病気やケガで仕事を休んでも、すぐに給付されるわけではありません。

また、保障期間が長期にわたる分、保険料の支払期間も長くなります。従って、保険料の総支払額が高くなりやすいという点もデメリットといえるでしょう。

医療保険の通院保障以外の保障2:所得保障保険

所得保障保険は、病気やケガで仕事ができなくなった場合に収入を補償する保険です。就業不能保険と同じように、入院や通院の有無にかかわらず、所定の就業不能状態に該当すれば給付金を受給できます。

所得保障保険の主なメリットは免責期間の短さです。多くの場合、免責期間は4日や7日程度なので、早期に給付金を受け取れます。

また、保険期間を柔軟に設定できるという点もメリットです。基本的に1〜5年の更新制となっているため、必要な期間だけ加入できます。

一方のデメリットとして、保障期間の短さが挙げられます。契約内容によって異なるものの、通常、保障を受けられる期間は1ヶ月〜1年程度です。そのため、長期的な収入減少に対応できない可能性があります。

このように、所得保障保険は短期的な収入減少に対して効果的な保険です。

医療保険の通院保障以外の保障3:医療保険の入院一時金

医療保険の入院一時金は、一定額の給付金を受け取れる保障です。入院給付金が入院日数に応じて支払われるのに対し、入院一時金は入院日数に関係なく、定額で支払われるという特徴があります。

入院一時金のメリットは、短期入院や日帰り入院でも、まとまった金額を受け取れるという点です。主に保険適用外の治療費や差額ベッド代に使われるものの、通院費用に充てることも可能です。

一方のデメリットとして、長期入院の場合は保障が不十分かもしれません。入院日数に関係なく一定額が支払われる分、長期入院では1日当たりの額が少なくなります。

また、一定期間内に再入院すると保障を受けられないリスクがあります。「前回の入院から180日以上の経過」を支払条件に設定している入院一時金が多いためです。

医療保険の通院保障以外の保障4:傷害保険

傷害保険は日常生活におけるケガに特化した保険です。入院だけでなく、通院でも保険金を受給できるという特徴があります。

傷害保険のメリットとして、告知義務が不要です。医療保険は健康状態や既往歴によって加入できないケースがあるものの、傷害保険にそのような制限はありません。

また、年齢や性別にかかわらず、保険料が一定という点もメリットです。年齢を重ねても保険料が上がらないため、長期的に経済的な恩恵を受けやすいでしょう。

ただし、病気による入院・手術は対象外という点に注意が必要です。あくまでもケガに特化した保険なので、病気に関する保障は受けられません。従って総合的な健康リスクに備えるには、医療保険との組み合わせが重要になります。

医療保険の通院保障以外の保障5:がん保険の通院保障

がん保険の通院保障は、がんの治療を目的とした通院が対象となります。一般的な医療保険の通院保障とは異なり、入院を伴わない通院でも保障が適用されやすいという特徴があります。

がん保険の通院保障の主なメリットは、長期にわたるがんの通院治療に対応できるという点です。所定の期間内であれば、支払限度日数に上限がないケースもあります。がんの治療は長期化しやすいため、経済的な負担を軽減できるでしょう。

一方、がんに特化した保険であるため、他の疾病やケガによる通院は保障の対象外という点がデメリットです。

がん保険の通院保障は、がんのリスクに対して手厚く備えたい人や、家族にがんの既往歴がある人に適しています。ただし、がん以外の疾病リスクも考慮し、医療保険と組み合わせるなど、総合的な保障設計が重要です。

医療保険の通院保障があると安心!自分・家族に必要な保障を検討しよう

医療保険の通院保障とは、病院やケガで通院し、治療を受けた場合に支払われる保障です。基本的に入院を伴わない通院は対象外となっています。

医療保険の通院保障が必要な理由として、入院日数の短縮傾向、退院後に通院する人の増加傾向、通院による出費の3つがあります。

実際に通院保障を選ぶ際は、支給条件、支払期間や日数、給付金額を確認することが大切です。加入後に通院給付金を受け取るには、保険会社への請求も必要になります。

通院保障以外に費用をカバーできる主な保障には、就業不能保険、所得保障保険、医療保険の入院一時金、傷害保険、がん保険の通院保障の5つがあります。

「医療保険の通院保障の選び方が分からない」という場合は、ぜひ弊社にご相談下さい。幅広い選択肢の中から、お客様にとって最適な保険をご提案します。