「がん保険は定期的に見直した方が良い」と近年よく言われます。「本当に必要なの?」と疑問に思っている方もいるかもしれません。
また、実際に見直すとしても何をどう見直せば良いかわからないと言う方もいるでしょう。
この記事では、がん保険の見直しについて必要性や実際に見直すときのポイントを解説します。ぜひこちらを参考にして、自分のがん保険を見直してみてください。
がん保険の見直しなぜ必要なのか
結論から言うと、がん保険の見直しの必要性はあります。
「保険の見直し」とは加入している保障内容が適切かどうかについて、自分や家族の状況と照らし合わせてより良い状態に更新していくと言うことです。
つまり、結婚、出産、転職などの環境の変化や年齢の変化があったときには、がん保険にかかわらず保険は見直していくべきです。
さらに、がん保険には他の保険と比べても見直しの必要性が高いと言える理由があります。それは、「がんの治療が日々進歩している」ということです。
一昔前のがん治療は入院や手術による治療が主流でした。しかし、現在は放射線治療や投薬治療などが主流となってきており、治療方法自体が変わってきています。がん保険には給付条件があり、通院治療で給付金が出ないタイプだと、がん治療を受けていても保険金の給付が受けられません。
また、がん治療は日進月歩の世界なので、公的には未承認な治療法や治療薬が登場してきます。これらは自由診療なので健康保険の適用対象外で全額自己負担です。
がん保険には先進医療特約などこれらをカバーするための特約もありますが、保険が古いと選んだ治療法が先進医療特約に当てはまらず、給付金を受けられないケースもあります。
そのため、現在のがん治療の傾向も踏まえた上で、がん保険を見直していく必要があるでしょう。
がん治療は年々変化している
例として、がん治療の入院受診率と入院日数の変化を見てみましょう。
年数 | 入院受診者数(10万人当たりの人数) | 外来受診者数(10万人当たりの人数) |
2002年 | 109人 | 92人 |
2008年 | 111人 | 123人 |
2014年 | 102人 | 135人 |
2020年 | 89人 | 144人 |
年数 | 入院日数 |
2002年 | 35.7日 |
2008年 | 23.9日 |
2014年 | 19.9日 |
2020年 | 19.6日 |
出典:令和2年患者調査/厚生労働省
上記の表からもわかるように、がん治療の入院者数は減っています。また、入院日数も35.7日から19.6日と2週間以上短くなっています。
がん治療は年々、入院治療から通院治療が主流となりつつあるのです。
この治療方法や入院期間の変化を理解した上で、がん保険を選ぶと良いでしょう。
がん保険を見直すデメリットはある?
がん保険の見直しを勧められた時に、「今の保険を変えるのは不安……」と思う方もいるでしょう。では、がん保険を見直すことでデメリットはあるのでしょうか?
この章ではがん保険を見直すデメリットを解説します。
免責期間がある
がん保険には免責期間があります。免責期間とは、がんになっても保障が受けられない期間のことを指し、基本的には加入時から90日間(約3ヶ月)です。
この期間は、保障を受けられないため、保険に入っていないのと同じ状態になってしまいます。新たながん保険を検討している方は気をつけましょう。
リスクを無くすためには、新たな保険の免責期間が過ぎるまで、前のがん保険にも加入しておくと良いです。ただし、二重に保険料を支払わなければならないことには注意してください。
健康状態によって保険に入れない場合や保険料が上がることがある
がん保険に関わらず、保険に加入する際には、告知義務があります。告知義務とは自分の健康状態や傷病歴を保険会社に伝えることです。
告知をした結果、過去の病気や健康状態によっては新たながん保険に加入できない可能性があります。また、加入できたとしても保険料が健康な人より高くなることもあります。そのため、結果的に見直しできないことや、保険料が前の保険よりも高くなるケースもあることに注意してください。
新たながん保険を検討している場合、前の保険を解約してから探すのではなく、新たながん保険に加入してから前の保険を解約してください。
がん保険を見直すメリット
がん保険を見直すメリットは、最新の医療状況に合わせた保険に加入できるということです。
例えば、以前は入院時に支払われる入院給付金が主流でした。しかし、現在は治療を受けていると支払われる治療給付金型が増えています。これは、入院日数が短くなり通院治療が主流となってきた昨今の状況を踏まえた変化です。
また、先進医療特約などで対象になる治療も、最新のがん治療状況に合わせて追加や変化されます。がん保険を見直すことで、より活用しやすい保険にできるのです。
がん保険を見直す際のポイント
がん保険を見直す際には、どのようなことに気をつければ良いのでしょうか。
この章では、がん保険を見直す際のポイントを解説します。
必要な保障額を把握する
まずは、必要な保障額を把握することが重要です。
日本では、高額療養費制度として、月の治療費が一定額を超えた場合、払い戻してくれる制度があります。多くの方は月額10万円前後を超えると、高額療養費制度の対象となるので、この10万円を一つの目安としても良いでしょう。
また、健康保険によっては「傷病手当金」として、病気で働けなくなった時に一定期間、給料の約3分の2程度のお金を支給してくれる制度もあります。
まずは、自分の健康保険にはどのような保障があるかを把握しましょう。
ただし、この高額療養費制度には、入院時の個室ベッド代や保険適用外治療の治療費は含まれません。また、傷病手当金をもらっても収入減にはなってしまいます。これらのお金をどのように用意するかは考えなければいけません。
全てを保険で用意する必要はありませんが、どの費用を保険で用意して、どの費用を貯蓄で備えておくかは考えておくと良いです。
保障期間を確認する
がん保険には、保障期間が終身のタイプと定期のタイプがあります。終身とは、一生涯保障が続くもので、定期は事前に決めた期間が終わると保障がなくなります。
例えば、子供が小さいうちだけがん保険に加入したい方は、10年や20年などの定期を選ぶと良いでしょう。ただし、期間が過ぎてから再度同じ内容の保険に加入しようとすると保険料は上がってしまいます。長期的にがん保険に加入しておきたい方は終身も検討してください。
保障期間とともに、保険料の払込期間も変わります。保障期間中、ずっと保険料を払うタイプもあれば、一定期間で保険料の払込を終えるタイプもあるので、自分のマネープランに合わせて選ぶと良いでしょう。
給付金の種類を確認する
がん保険には、どのような時に保険金が給付されるかなど、給付金の種類がいくつかに分かれています。
下記が代表的な給付金の例です。
給付金名 | 内容 |
がん入院給付金 | がんで入院した時に給付される |
がん手術給付金 | がんで手術を受けた時に給付される |
がん診断給付金 | がんと診断された時に給付される |
がん通院給付金 | ・がんで入院した後に通院すると給付される ・がんで所定の治療を受けるために通院すると給付される |
特定治療給付金 | 抗がん剤など特定の治療を受けると給付される |
先進医療給付金 | がんで先進医療と定められた治療を受けると給付される |
他にも、女性特有のがんへの特約など様々な種類があります。自分に必要な給付金を選んでいきましょう。
特に、がん診断給付金は他のものと違い、治療を受けてなくてももらえる給付金です。基本的に保険は、治療を受けてから後日給付金が支払われます。つまり、お金を支払うタイミングと給付金をもらうタイミングがズレるということです。
がん診断給付金は治療を受ける前に給付を受けられるので、入院・通院の支払いや買い物など入院の準備などにも使えます。がん治療にかかるお金を主に保険で用意しようと考えている方は、診断給付金があると安心です。
給付条件を確認する
がん保険は、給付金を受け取れる条件が細かく決まっています。知らずに契約して、いざ給付を受けるときに対象外だったということがないように確認しておきましょう。
例えば、一口にがんと言っても「上皮内新生物」に関しては、給付の対象外としている保険も多いです。また、特定治療や先進医療も給付されない治療方法もあるので、注意しておきましょう。
給付回数も確認しておきたい項目です。一度しか受けられないタイプもあれば、複数回もらえるタイプもあります。例えば、がんは転移や再発が多い病気ですが、がん診断給付金を一回しかもらえないものを選ぶと、再発しても診断給付金はもらえません。
保険料も変わるので、どの範囲までカバーするかを考えながら加入しましょう。
自分の健康状態を確認する
過去に、がんの罹患歴があると、加入できないがん保険もあります。また、健康診断の結果や既往歴によっても、加入できなかったり、保険料が上がったりとする場合もあります。その場合、前の保険をキープした方が良いケースもあるかもしれません。
ただし、保険に加入できるかは保険会社の審査に申し込まないとわかりません。なので、保険を見直すときは、保険の審査に申し込んで結果がわかるまで、前の保険を解約しないでおきましょう。
がん保険を見直すタイミングは?
がん保険はどのタイミングで見直すと良いのでしょうか?この章では、一般的に見直すべきタイミングをご紹介します。
ライフステージに変化があった時
「結婚」や「出産」などライフステージに変化があったときは、保険を見直しておきましょう。ライフステージに変化があると、自分に必要な保障額が変化することも多いからです。
例えば、出産をすると家族が増えるため、自分が、がんになった時に必要なお金は増えることが多いです。
ただ、どのくらいお金が必要かを計算するのは難しいかもしれません。FPに相談すると、一緒に必要な保障額を考えてくれるので、一人では難しいという方は、活用すると良いでしょう。
健康状態が良いうちに最新の保険にしておく
がん保険は、最新の医療状況に合わせて商品も変化していきます。なので、ライフステージの変化がなくても見直すべき保険と言えるかもしれません。
がん保険は、一度がんになったり健康状態が悪くなると加入できなくなる場合もあります。今、健康であるならば、健康状態が良いうちに一度見直しておくのも良いでしょう。
がん保険の見直しはプロと一緒に行うのがおすすめ
がん保険の見直しについて、デメリットや見直すポイントをご紹介してきました。
がん治療は今後も変化していくことが予想されるので、最新の医療状況に合った保険になるよう、定期的に見直すことをお勧めします。
一人で見直すのが難しい方は、ぜひFP相談を活用してください。自分に必要な保障額や給付金の種類を一緒に考えてくれます。