レーシック手術は保険適用される?医療費控除の対象かどうかもわかりやすく解説!

この記事では、レーシック手術でも公的医療保険が利用できるのかについて紹介しています。レーシック手術は医療費控除になる点や、申告方法等も紹介しているので、手早く知りたい方々におすすめです。

この記事を監修した専門家

田沼 隆浩

株式会社エコスマート 事業開発責任者
2級ファイナンシャル・プランニング技能士

略歴

2004年から大手保険代理店で保険事業に従事。M&Aを中心に子会社社長などを歴任。2021年より株式会社エコスマートへ事業開発責任者として入社。保険セミナーの実績も多数あり。

レーシック手術の費用相場

レーシック手術を行う場合は、手術に利用する機器や施術方法で費用は異なります。下表をご覧ください。

施術名手術料金目安(税込)
iFSイントラレーシック両眼154,000円~198,000円
Vario Designレーシック両眼209,000円~339,000円
Max Vario designレーシック両眼264,000円~388,000円

手術料金は安くても両眼で15万円以上かかり、高額な負担となる傾向があります。

【参照】医療法人 先進会 費用/術式一覧

【参照】新宿近視クリニック レーシックなどの視力回復手術の費用・値段一覧

レーシック手術は保険適用外

こちらでは、レーシック手術の特徴について解説します。

病気が原因の治療ではないため保険適用外

レーシックとは人間の角膜にレーザーを照射し、屈折力を調整して近視・遠視・乱視を矯正する眼科手術です。

ただし、近視・遠視・乱視は病気やケガとはいえないので、その治療は保険診療の範囲外となります。

保険診療ではない以上、レーシック手術に公的医療保険は適用されず、かかった料金を3割自己負担に軽減することはできません。

レーシック手術は「自由診療」

レーシック手術は保険診療外の医療サービスとなります。この医療サービスを「自由診療」と呼びます。

自由診療にはレーシック手術の他、美肌や脱毛等の美容医療、歯列矯正、さらに国内で未承認の最先端手術・投薬が該当します。

自由診療の料金は医療を提供する側が自由に設定でき、更に患者側の全額自己負担となるので、負担する料金は高額化する傾向があるので注意しましょう。

レーシック手術は医療費控除の対象となる

レーシック手術には公的医療保険が適用されないものの、医療費控除の対象となります。

医療費控除とは?

医療費控除とは、自分および家族が医療機関で支払った医療費等を申告すれば、税負担が軽減される所得税控除制度です。

保険診療でかかった費用ばかりではなく、レーシック手術の料金も控除の範囲に含まれます。医療費控除が適用されれば、最高200万円までを医療費控除額として節税に役立てられます。

医療費控除が適用される条件

医療費控除を利用するには、次の条件に合致していなければいけません。

  • 患者の病状等からみて、一般的に支出される水準を著しく超えない部分の金額
  • 1年間の医療費が10万円(総所得金額等200万円未満:総所得金額等の5%)を超えた金額

医療費控除の計算式は次の通りです。

実際に支払った医療費の合計額-補填される金額(※)-10万円(総所得金額200万円未満の人は総所得金額の5%)

(※)補填される金額は主に次のようなものがあります。

  • 生命保険会社から受け取った保険金(給付金)
  • 高額療養費
  • 出産育児一時金

つまり、1年間に支払った医療費を補填される金額および10万円から差し引き、残った金額が医療費控除額となります。

【参照】国税庁 医療費を支払ったとき(医療費控除)より

医療費控除でどれくらい税負担を軽減できるのか?

具体例をあげ、医療費控除額がどれくらいになるのかを計算してみましょう。

(例)1年のうちに、レーシック手術とケガによる入院をした

  • 自営業者:男性(総所得金額600万円)
  • レーシック手術料金:30万円
  • ケガによる入院費:15万円
  • 生命保険会社から受け取った入院給付金:入院給付金12万円

1年間にかかった医療費45万円-補填される金額12万円-10万円=23万円

医療費控除額は23万円となります。

医療費控除の申告について

医療費控除は基本的に確定申告で手続きを行います。

確定申告の際に医療費控除を申告する

確定申告とは1月1日~12月31日を課税期間として、その期間内の収入・支出や医療費等から所得を計算、税務署へ提出する申告手続きです。主な申告の対象者は自営業者・自由業者等です。

申告期間は毎年概ね2月中旬〜3月中旬(2023年度:2月16日~3月15日)まで設定されます。医療費控除を申告するためには、確定申告書に加え医療費控除の明細書を準備しましょう。

明細書にはレーシック手術の料金が記載された領収書を参考として、レーシック手術で利用した病院名、医療費の区分、支払った金額等を記入します。

なお、給与所得者の場合も医療費控除を申告する際は、年末調整ではなく確定申告を行わなければいけません。

確定申告の際に必要な書類

確定申告を行う場合は、原則として申告期間内に納税地を管轄する税務署で手続きが必要です。提出する書類は主に次の書類です。

  • 確定申告書:最寄りの税務署で取得
  • 医療費控除の明細書:最寄りの税務署で取得
  • 医療費通知:保険者(市区町村役場または健康保険組合)から送付されてくる書類、添付すれば明細書の記入を省略可能
  • 本人確認書類:マイナンバーカード、運転免許証、パスポート等
  • 源泉徴収票:給与所得者が申告する場合に必要

提出の際、医療機関や薬局から受け取った領収書・レシートの添付は必要ありません。ただし、明細書に記入する際に必要なので大切に保管しておきましょう。

確定申告の申告方法

確定申告には窓口・郵送・電子申告の3種類の方法があります。申告する人がいずれかを選んで申告します。

窓口申告

納税地を管轄する税務署で確定申告の手続きを行う方法です。毎年、確定申告期間は、税務署内に特設ブースが用意され、窓口の担当者に書類を提出します。

担当者が書類の不備を見つけたら、再提出を要求される場合もあります。確定申告期間内に修正して再度提出すれば、問題なく受付してくれます。

窓口申告の場合は、いつでも受付をしてくれるわけではなく、月曜日~金曜日(祝日等を除く)に限定され受付時間は8時30分〜17時00分までです。 

持参する際は、仕事の休憩時間等に提出する必要があるでしょう。ただし、税務署には「時間外収受箱」も設置されています。この収受箱に確定申告書等を提出しても構いません。

郵送申告

納税地を管轄する税務署へ郵送する方法でも申告可能です。自宅からかなり遠い距離に税務署がある場合、申告の際に長時間待機するのが嫌な場合、郵送した方が便利です。

ただし、確定申告期間の終了日直前で提出してしまうと、期間内に税務署へ届かない可能性もあります。余裕を持って税務署へ郵送できるよう、事前の書類等の準備を行っておきましょう。

電子申告

事務所または自宅のパソコンやスマートフォンから、24時間いつでも申告が可能な方法です。青色申告の場合は65万円控除が受けられる他、本人確認書類をはじめとした添付書類の一部の提出も省略できます。

電子申告は「e-Tax」と呼ばれており、次の2種類の方法で利用できます。

  • マイナンバーカード方式:マイナンバーカードを取得し、特設サイトから手続きする。
  • ID・パスワード方式:税務署にて対面で本人確認後、届出を行い手続きする。

電子申告を利用する際、いずれの方法も行政機関で手続き等が必要です。なお、マイナンバーカード方式を選んだ場合、マイナンバーカードの発行まで1ヶ月程度かかります。

確定申告期間が始まる前までに、余裕をもって、電子申告の準備を終えておきましょう。

医療費控除を申告する際の注意点

医療費控除を申告する際に注意するべき点が2つあります。

1.レーシック手術の際に取得した領収書は5年間保存する必要あり

医療費控除の明細書に必要事項を記入する際、レーシック手術に関する領収書やレシートが必要となります。申告の際、税務署への申告書や明細書と共に提出する必要はありませんが、申告後すぐ破棄しないように注意しましょう。

申告後しばらくたってから、税務署からレーシック手術の領収書やレシートの提出を要求される場合があります。そのため、自宅で5年間は大切に保存しておきましょう。

2.本人に加え、家族の医療費も合算できる

レーシック手術の料金を含めた1年間に支払った医療費が、たとえ補填される金額や10万円(総所得金額200万円未満の人は総所得金額の5%)を下回っても、申告を諦めるのは早計です。

なぜなら、自己と生計を一にする配偶者や他の親族の医療費について、自分が負担していた場合、その医療費を合算して確定申告が可能だからです。

自分が負担した家族の医療費の領収書・レシートも大切に保管し、申告の際に合算すれば、まとまった医療費控除額となる場合があります。

レーシックと医療費控除に関するよくある質問

こちらでは、医療費控除に関するよくある質問をとりあげましょう。

確定申告の際に医療費控除を忘れたら優遇措置は無理?

医療費控除の明細書の作成がはかどらず、申告期限まで間に合わないと感じたら、無理に医療費控除を提出する必要はありません。

自営業者・自由業者の方々の場合は、まず確定申告だけ行いましょう。一方、給与所得者は年末調整を行います。

医療費控除は「還付申告」という方法でも申告が可能です。申告の際は還付申告書の他、医療費控除の明細書等を税務署へ提出します。

還付申告の有効期間は、確定申告で申告するはずだった年の翌年1月1日から5年間提出が可能です。

セルフメディケーション税制も併用できる?

セルフメディケーション税制とは、一部の市販薬を購入した際に所得控除が受けられる制度です。

対象市販薬を、年間1万2,000円を超えて購入した分から申告対象となり、最高88,000円までが控除額です。ただし、医療費控除とセルフメディケーション税制は、合わせて申告ができません。

そのため、確定申告をする前にレーシック手術をはじめとした医療費等と、市販薬の購入費いずれが多いか、領収書・レシートで確認し比較検討しましょう。