
妊娠・出産して産まれた子どもが1歳になるまでに、大きく7つのお金や助成を受けられることをご存知ですか?
毎月のお給料が30万円の会社員ママを例にすると、産休98日 + 1歳までの育休で合計約339万円の給付・助成を受けられます。なお病院へ直接支払われる出産育児一時金の50万円や、妊婦健診の約11万円分(受診券)、1歳までにもらえる児童手当の16.5万円も含みます。※2026年4月1日出産・無給・上乗せありの条件で算出
どの制度も申請しないと受け取れず、勤め先の会社や市区町村に申請・届け出が必要です。この記事では、金額・対象・申請の時期と窓口を順番にまとめました。
- お金をもらえる:妊婦支援給付金・出産手当金・育児休業給付金・児童手当
- 病院に直接払われる:出産育児一時金
- 負担が軽くなる:妊婦健診の助成・保険料の免除
知りたいところから読めます。
▶ 自分は対象?▶ 育休給付はいくら?▶ いつどこに申請する?
この記事を監修した専門家
株式会社エコスマート
事業開発責任者/2級ファイナンシャル・プランニング技能士
田沼 隆浩
2004年から大手保険代理店で保険事業に従事。M&Aを中心に子会社社長などを歴任。2021年より株式会社エコスマートへ事業開発責任者として入社。保険セミナーの実績も多数あり。
田沼 隆浩のプロフィールを見る出産・育休でもらえるお金はいくら?
もらえるお金は、会社員か、自営業・フリーランスかで変わります。
会社員として働くママの場合

月収30万円の会社員ママがもらえる金額
月収30万円の会社員ママなら、妊娠から子ども1歳までの給付・助成は合計約339万円です(2026年10月時点)。うち50万円は病院へ直接払われ、約11万円分は健診の受診券です。
お金が入る場面は、妊娠から1歳までで7つあります。
| 時期 | 制度 | 月収20万円 | 月収30万円 | 月収40万円 |
|---|---|---|---|---|
| 妊娠 | 妊婦支援給付金 | 10万円 | 10万円 | 10万円 |
| 妊娠中 | 妊婦健診の助成(受診券) | 約11万円分 | 約11万円分 | 約11万円分 |
| 産休中 | 出産手当金 | 約44万円 | 約65万円 | 約89万円 |
| 出産 | 出産育児一時金(病院に先払い) | 50万円 | 50万円 | 50万円 |
| 出生後 | 児童手当(1歳まで) | 16.5万円 | 16.5万円 | 16.5万円 |
| 育休中 | 育児休業給付金+上乗せ | 約124万円 | 約186万円 | 約248万円 |
| 産休・育休 | 保険料の免除 | 負担なし | 負担なし | 負担なし |
| 合計 | 免除を除く | 約255万円 | 約339万円 | 約424万円 |
表の見方:月収は、休業前6か月の平均(賞与を除く)です。金額は口座に振り込まれます。「受診券」は健診の窓口で使う券です。
「病院に先払い」は、健康保険から病院に支払われるため、窓口での負担額が減ります。児童手当は、出生月の翌月から1歳までの11か月分です。第1子・第2子の額(月1.5万円)で計算しています。第3子以降は月3万円なので、33万円になります。
合計に含まないものは、保険料の免除・市区町村の出産祝い金・健康保険組合の付加給付・復帰後の育児時短就業給付です。
自営業・フリーランスとして働くママの場合
自営業・フリーランスのママがもらえる金額
自営業・フリーランスのママは、月収にかかわらず、妊娠から子ども1歳までの給付・助成の合計が約87万円です(2026年10月時点)。うち50万円は病院へ直接払われ、約11万円分は健診の受診券です。
自営業・フリーランスは、出産手当金と育児休業給付金の対象外です。代わりに、国民年金・国民健康保険の保険料の免除があります。金額は月収で変わりません。
| 時期 | 制度 | 金額 |
|---|---|---|
| 妊娠 | 妊婦支援給付金 | 10万円 |
| 妊娠中 | 妊婦健診の助成(受診券) | 約11万円分 |
| 産休中 | 出産手当金 | 対象外 |
| 出産 | 出産育児一時金(病院に先払い) | 50万円 |
| 出生後 | 児童手当(1歳まで) | 16.5万円 |
| 育休中 | 育児休業給付金 | 対象外 |
| 産前産後・育児期間 | 国民年金・国保の保険料の免除 | 負担なし |
| 合計 | 免除を除く | 約87万円 |
この記事の金額は、2026年4月1日に第1子を出産・産休中は無給・育休は1歳まで・上乗せありの例です。
計算の条件をくわしく見る
計算の条件(自分の数字に置き換えるときに)
- 2026年4月1日出産(予定日どおり・子1人)。産前42日・産後56日の産休中は無給
- 育休は5月28日から、1歳の誕生日の前々日(2027年3月30日)まで。延長なし
- 育休給付は30日ごとの期間で計算(支給日数303日)。開始から180日は67%、181日目から50%。上乗せ13%は28日分
- 月収=休業前6か月の賃金(賞与を除く)。出産手当金は標準報酬月額で計算(月収40万円は41万円の等級)
- 児童手当は出生月の翌月(2026年5月)分から1歳の誕生日の前月(2027年3月)分まで、11か月分165,000円(第1子・第2子の額。第3子以降は月30,000円で330,000円)
- 月収30万円の実額:妊婦支援給付金10万円+健診の助成109,730円(全国平均)+出産育児一時金50万円+児童手当165,000円+出産手当金653,366円+育休給付1,857,400円=3,385,496円
- 自営業の実額:10万円+109,730円+50万円+165,000円=874,730円(出産手当金・育休給付はなし)
- 2026年10月時点の制度。雇用保険の上限額は2026年8月〜2027年7月の額
自分は対象?働き方と加入している保険で確認

「会社員だからもらえる」「自営業だからもらえない」と決まるわけではありません。決め手は次の2つです。
- 勤務先の健康保険に、本人(被保険者)として入っているか → 出産手当金・産休中の保険料免除
- 雇用保険に入っているか → 育児休業給付金・時短の給付
育児休業給付金には、働いた期間の条件もあります。育休前の2年間に、11日以上働いた月が12か月以上あることが原則です。足りない場合は、80時間以上働いた月も数えます。
働き方別の早見表
| 働き方 | 出産手当金 | 育休給付 |
|---|---|---|
| 正社員 | ○ | ○※ |
| パート・派遣(社保に加入) | ○ | ○※ |
| パート(配偶者の扶養内) | × | 雇用保険があれば○ |
| 自営業・フリーランス | × | × |
| 公務員 | 共済組合 | 共済組合 |
※育休給付は、休業前2年間の加入期間の条件があります。扶養内のパートの出産育児一時金は、配偶者の健康保険から受け取ります。自営業・フリーランスには保険料の免除があります。公務員は所属の共済組合で確認してください。
妊婦支援給付金・妊婦健診の助成・出産育児一時金・児童手当は、働き方に関係なく対象です。
ポイント
迷ったら、マイナポータルの健康保険情報か資格確認書で「保険者」を確認します。雇用保険は、給与明細に雇用保険料の天引きがあるかで分かります。
妊娠・出産でもらえるお金(会社員・自営業共通)

妊婦支援給付金(合計10万円)・妊婦健診の助成・出産育児一時金(50万円)・児童手当は、働き方に関係なく対象です。会社員も自営業も、扶養内の方も同じです。
妊婦支援給付金:胎児1人なら合計10万円
正式名称は「妊婦のための支援給付」で、2025年4月に始まりました。市区町村に妊娠届を出して認定されると、まず5万円。出産予定日の8週間前からは、おなかの子どもの人数を届け出ると、子1人につき5万円です。双子なら2回目は10万円です。
医療機関で胎児の心拍が確認されたあとの流産・死産・人工妊娠中絶も、届け出れば対象になります。
国の給付は、胎児1人で合計10万円です。「国から100万円」「妊婦給付金200万円」という情報は、一部の市区町村の出産祝い金や第3子以降の加算の話です。全員がもらえる国の制度ではありません。
妊婦健診の助成:14回分・全国平均で約11万円
妊娠届を出すと、市区町村から健診の受診券(補助券)がもらえます。全国すべての市区町村が14回以上を助成し、妊婦1人あたりの平均は109,730円です(令和6年4月1日現在)。お金が振り込まれるのではなく、健診の窓口で払う額が減る仕組みです。
出産育児一時金:50万円は病院へ直接
子1人につき50万円です(産科医療補償制度の対象外の出産などは48万8,000円)。多くの病院で「直接支払制度」が使えます。健康保険から病院に直接払われるので、窓口では差額だけ払います。
正常分娩の出産費用は、全国平均で519,805円です(令和6年度・室料差額などを除く・厚生労働省の集計)。一時金50万円より約2万円多く、東京都648,309円、熊本県404,411円と地域差があります。
出産費用が50万円より安ければ、差額を健康保険に請求できます。配偶者の扶養に入っている方は、配偶者の健康保険から「家族出産育児一時金」として受け取ります。
「出産費用の自己負担ゼロ」はいつから?
2026年6月5日に、標準的な出産費用の自己負担をゼロにする法律が公布されました。ただし始まる日は「公布から2年以内に政令で定める日」で、2026年10月時点では決まっていません。
対象は標準的な出産費用だけで、個室代などは含まれません。始まるまでは、50万円の一時金が続きます。
児童手当:出生の翌日から15日以内に申請
3歳未満は月15,000円、3歳から高校生年代は月10,000円、第3子以降は月30,000円です。2024年10月分からは所得の制限がなくなり、高校生年代まで対象になりました。
申請先は市区町村で、期限は出生の翌日から15日以内です。15日以内なら、月をまたいでも出生月の翌月分からもらえます。遅れると、その月の分はもらえません。支給は偶数月に2か月分ずつです。公務員は勤務先に申請します。
出生届の期限は、出生の日から14日以内です。児童手当とは数え方が違うので、分けて覚えてください。
帝王切開など、健康保険が使えるとき・そのほかの支援
帝王切開や切迫早産の入院は、健康保険が使えて3割負担です。1か月の自己負担が一定額を超えると、高額療養費で戻ります。民間の医療保険から給付金が出ることも多いです。
くわしくは「出産は保険適用される?」「帝王切開は医療保険の適用になる?」「高額療養費の2026年8月改定」をご覧ください。
市区町村によっては、出産祝い金や品物があります。勤め先の健康保険組合に「付加給付」があれば、一時金に上乗せされることがあります。「〇〇市 出産祝い」で検索し、健保組合のサイトも見てみてください。
ポイント
妊婦支援給付金・健診の助成・出産育児一時金・児童手当は、会社員も自営業も同じです。出生後の期限は、出生届は14日以内・児童手当は15日以内。妊婦支援給付金の2回目は、出産予定日の8週間前からできます。
出産手当金の計算方法と月収別の目安

計算式と月収別の目安
出産手当金は、産休中の収入を補うお金です。産前42日(双子以上は98日)と産後56日のうち、給料が出ない日の分を、勤務先の健康保険が払います。1日あたりの額は次の式です。
支給開始日以前12か月の標準報酬月額の平均 ÷ 30 × 3分の2
| 標準報酬月額 | 1日あたり | 98日分 |
|---|---|---|
| 20万円 | 4,447円 | 約44万円 |
| 30万円 | 6,667円 | 約65万円 |
| 41万円 | 9,113円 | 約89万円 |
表の見方:標準報酬月額は、健康保険料の計算に使う月給の区分です。産休中に給料が出る場合は、その分が差し引かれます。
端数の計算ルールを見る
÷30の段階で10円未満を四捨五入し、×3分の2のあとで1円未満を四捨五入しています(協会けんぽの計算方法)。
加入して12か月未満の方は、「加入してからの平均」と「全加入者の平均」の低い方で計算します。協会けんぽの全加入者の平均は32万円です。
自営業・フリーランスには出産手当金がない
国民健康保険には、出産手当金の仕組みが原則ありません。代わりに、国保・国民年金の保険料が出産前後に免除されます。ただし免除は、休んでいる間の収入を補うものではありません。休業中の生活費は、貯蓄で見ておく必要があります。
産休中の保険料免除
| 免除されるもの | 期間 | 手続き | |
|---|---|---|---|
| 会社員 | 健康保険・厚生年金(本人分・会社分) | 産休の間 | 会社が手続き |
| 自営業 | 国民年金・国保(所得割・均等割) | 予定月の前月から4か月(多胎は6か月) | 市区町村へ |
免除された期間も、年金は「納めた」扱いで計算されます。将来の年金額は減りません。国民年金の免除は、出産予定日の6か月前から届け出できます。
退職しても受け取れる場合
退職後も、次の条件を満たすと出産手当金を受け取れる場合があります。
- 健康保険に継続して1年以上入っていた(任意継続を除く)
- 退職日に出産手当金を受けている、または受けられる状態にある
退職日に出勤すると、退職後の継続給付は対象外です。請求の期限は、休んだ日ごとに、その翌日から2年です。
退職後すぐに働けないときは、失業給付(雇用保険の基本手当)をもらえる期間の延長も申請できます。原則1年の期間に、妊娠・出産・育児で30日以上働けない期間を足せます。
延長は離職日の翌日から最長4年までです。申請先はハローワークで、働けなくなった日の翌日以降、早めに申請します。
申請の方法:まとめて申請するか、分けて申請するか
申請書に医師・助産師の証明と会社の証明をもらい、加入している健康保険に出します。産後にまとめて1回で出すほか、産前分・産後分と分けて出すこともできます。分ける場合、会社の証明は毎回必要です。
協会けんぽでは2026年1月13日から、マイナンバーカードを使ってスマホやパソコンから申請できます。出産手当金と、出産育児一時金の差額が対象です。証明をもらった用紙は画像で添付し、原本の郵送はいりません。
健康保険組合は組合ごとに申請方法が異なるので、産休前に確認してください。
ポイント
標準報酬月額30万円なら、98日分で約65万円。会社の証明を受けて健康保険へ申請します。産前分を先に申請すると、その分は早く受け取れます。
育児休業給付金はいくら?月収別の目安と初回入金

仕組みと月収別の目安
育児休業給付金は、雇用保険から出ます。育休を始めた日から180日目までは休業前の賃金の67%、181日目からは50%です。30日ごとの期間で計算し、1歳の誕生日の前々日まで出ます。産休中の出産手当金(健康保険)とは期間が別なので、両方受け取れます。
さらに2025年4月からは、条件を満たすと最大28日分に13%が上乗せされます。合計で80%です(出生後休業支援給付金)。条件は、出生後の一定期間に、本人と配偶者がそれぞれ通算14日以上の育休を取ることです。
この「一定期間」は、産後休業をする母親は出生から16週間、父親などは8週間です。配偶者が次の事情で育休を取れない場合は、本人が14日以上取れば対象です。
- 配偶者がいない(ひとり親)
- 配偶者が無業、または自営業・フリーランスなど雇用保険に入っていない
- 配偶者が産後休業中
配偶者が「仕事の都合で取らない」場合は対象外です。
| 月収 | 上乗せ対象28日分(80%) | 180日まで(67%) | 181日目から(50%) |
|---|---|---|---|
| 20万円 | 約15万円 | 約13.4万円 | 10万円 |
| 30万円 | 約22万円 | 約20.1万円 | 15万円 |
| 40万円 | 約30万円 | 約26.8万円 | 20万円 |
表の見方:「上乗せ対象28日分」は28日分、ほかは30日分の金額です。月収は、育休前6か月の賃金(賞与を除く)を180で割った「賃金日額」をもとにしています。
上限もあります。賃金日額の上限は16,540円(月収約49.6万円)。30日分の給付は、67%で332,454円、50%で248,100円が上限です(2026年8月〜2027年7月の額)。
なぜ80%で「手取り10割相当」?住民税は?
給付金には所得税がかからず、育休中は健康保険料と厚生年金保険料も免除されるからです。給料から引かれていた税金と保険料がなくなるので、80%でもふだんの手取りに近くなります。
ただし住民税は、前年の所得に対してかかります。育休中も前年分の支払いは続くので、その分は手元から出ます。
パパの育休:産後パパ育休と上乗せ
父親は、子の出生後8週間以内に最大28日の「産後パパ育休」を取れます。2回に分けることもできます。給付は67%で、母親が産後休業中なら、父親が14日以上取るだけで上乗せの対象となり80%になります。
例えば月収30万円の父親が、4月1日から28日まで産後パパ育休を取るとします。続けて翌年3月30日まで育休を取ると、合計約214万円です。最初の180日分を67%、残りを50%、28日分に上乗せを加えた概算です。
いつ振り込まれる?給付と入金までの流れ

育休給付は、休んだあとに申請してもらう仕組みです。申請は原則、会社がハローワークに行います。2か月ごとが原則で、本人が希望すれば1か月ごとにもできます。初回の期限は「育休開始日から4か月を過ぎた日の属する月の末日」です。
ハローワークで支給が決まると、約1週間で本人の口座に振り込まれます。全国共通の振込日はなく、会社の提出時期と審査で変わります。会社に「いつ申請するか」を確認しておくと安心です。
表の見方:月収30万円・2026年4月1日出産の例です。金額は給付の見込みで、入金日は会社の提出時期で前後します。
| 時期 | 給付・金額 | 手続き・入金 |
|---|---|---|
| 2/19〜4/1 産前休業 | 出産手当金の対象(給料なし) | 産後にまとめて申請する会社が多い(産前分を先に申請することもできる) |
| 4/1 出産 | 一時金50万円は病院へ | 出生届14日以内・児童手当15日以内 |
| 4/2〜5/27 産後休業 | 出産手当金の対象(給料なし) | 妊婦支援給付金の2回目は市区町村による |
| 5/28 育休開始 | — | 会社が初回申請の準備 |
| 産後休業のあと | 出産手当金 約65万円 | 申請受付後に支給。東京支部は受付から10営業日が目安 |
| 6月 | 児童手当 5月分1.5万円 | 以後、偶数月に2か月分 |
| 5/28〜7/27の2期間 | 育休給付40.2万円+上乗せ3.6万円=43.8万円 | 会社の申請・審査のあと入金 |
| 以後2か月ごと | 約40万円。181日目から約30万円 | 原則2か月ごとに申請 |
上乗せの対象かどうかで、初回の入金が36,400円変わります(10,000円×28日×13%)。
入金までに必要な貯蓄は、次の式で見当がつきます。生活費+住民税+出産の自己負担 − その間に入る世帯の収入。まだ決まっていない給付は、収入に入れないで計算してください。
保育園に入れないときの延長
1歳の時点で保育園に入れないときは、要件を満たせば1歳6か月まで、さらに2歳まで育休と給付を延長できます。給付率は50%のままです。延長の申請には、次の3つが要ります。
- 育児休業給付金支給対象期間延長事由認定申告書
- 市区町村に出した保育所の利用申込書の写し
- 市区町村が発行する「利用できない」旨の通知(入所保留通知書など)
2025年4月からは、「早く職場に戻るための申し込みか」をハローワークが確認します。1歳の誕生日より前に申し込み、入所希望日も誕生日以前にします。わざと入れない前提の申し込みでは、延長が認められません。
ポイント
月収30万円なら上乗せ対象の28日分は約22万円、以後は30日あたり約20万円→15万円。初回の入金は会社の申請後なので、産休前にその間の生活費を用意しておきます。
育児中・復職後の給付と国民年金の免除

育児中・復職後に使える制度は4つです。雇用保険の育児時短就業給付(2歳未満・時短中の賃金の最大10%)と、自営業の国民年金の育児期間免除(2026年10月開始)。それに医療費控除と、市区町村の子どもの医療費助成です。
時短勤務の上乗せ:育児時短就業給付(最大10%)
2歳未満の子を育てるために時短勤務をすると、時短中の賃金の最大10%が雇用保険から上乗せされます。時短前の給料の10%ではなく、「時短中にもらっている給料」の10%です。
賃金が時短前の90%を超える場合は支給率が下がり、100%以上なら出ません。
自営業の国民年金が、子が1歳まで免除に
2026年10月から、国民年金の第1号被保険者(自営業・フリーランスなど)に「育児期間の保険料免除」が始まりました。父母どちらも対象で、所得の制限はありません。子と同じ住所に住んでいることが要件です。対象になるのは2026年10月以降の月です。
- 母:産前産後の免除(4か月)に続けて9か月。合わせて子が1歳になる前月まで
- 父:養育を始めた月から1歳の誕生日の前月まで、最大12か月
原則は市区町村への届け出が要ります。ただし産前産後の免除を受けている母で、年金機構が養育を確認できる場合は、届け出なしで続けて免除されます。免除された期間も年金額は減りません。
医療費控除:出産の年は確認を
妊娠と診断されてからの健診・検査・通院の費用、出産の入院費用は医療費控除の対象です。出産で入院するときのタクシー代も、やむを得ない場合は含められます。
計算では、出産育児一時金は医療費から差し引きます。出産手当金は差し引きません(収入を補うお金で、医療費を補うものではないため)。
- 対象になる基準:一時金などを差し引いた医療費が、原則10万円超(総所得金額等が200万円未満なら、その5%超)
- 合算できる範囲:生計を一にする家族のために、自分が払った分
- 戻る額:納めた税額などで変わる
還付のための申告は、翌年1月1日から5年間できます。
子どもの医療費は市区町村の助成を確認
生まれたあとの子どもの病院代は、市区町村の「子ども医療費助成」で窓口負担が0円になる所が多くあります。対象年齢や自己負担は市区町村で違うので、出生届のときに窓口で確認してください。
ポイント
2026年10月からの国民年金の育児期間免除は、自営業の父も対象です。父は原則、市区町村への届け出が必要です。
いつ・どこに申請する?手続きカレンダー

妊娠中の手続き
表の見方:制度の括弧は申請先です。「期限・受付」の列は、期限のあるものは期限を、受付が始まる時期のあるものはその時期を書いています。
| 時期 | 制度(申請先) | 期限・受付 |
|---|---|---|
| 妊娠がわかったら | 妊娠届・妊婦支援給付金の1回目・健診の受診券(市区町村) | 早めに(時効は心拍確認の日から2年) |
| 予定日の8週間前〜 | 妊婦支援給付金の2回目(市区町村) | 受付開始(時効は8週間前の日から2年) |
| 予定日の6か月前〜 | 自営業の国民年金・国保の産前産後免除(市区町村) | 受付開始(出産後でも可) |
| 産休に入る前 | 直接支払制度の同意(病院)・産休中の保険料免除(会社) | 産休前 |
出生後の手続き
| 時期 | 制度(申請先) | 期限・受付 |
|---|---|---|
| 出生の日から | 出生届(市区町村) | 14日以内 |
| 出生の翌日から | 児童手当・子ども医療費助成(市区町村) | 15日以内(医療費助成は自治体の期限) |
| 産後休業のあと | 出産手当金・産前分は先でも可(会社の証明→健康保険。協会けんぽは電子申請可) | 休んだ日ごとに翌日から2年 |
| 育休開始から2か月〜 | 育児休業給付金の初回・上乗せ(会社→ハローワーク) | 開始から4か月後の月末(上乗せは同時に申請) |
| 子が1歳になる前 | 自営業の父の国民年金の育児期間免除(市区町村) | 養育開始後 |
| 翌年1月〜 | 医療費控除の還付申告(税務署) | 翌年1月1日から5年 |
期限を過ぎたら、制度ごとの窓口に相談してください。出産手当金は健康保険、育児休業給付金と上乗せはハローワーク、国民年金の免除は年金事務所か市区町村です。期限後にもらえるかは制度と事情で違い、自動で2年さかのぼれるわけではありません。
本人がすること・会社がすること
- 本人が市区町村で:妊娠届、妊婦支援給付金(2回)、出生届、児童手当、子ども医療費助成、(自営業)保険料の免除
- 会社を通して:産休・育休中の社会保険料免除、出産手当金の証明、育児休業給付金、時短の給付。本人は会社の書類に記入し、母子手帳の写しなどを渡す(協会けんぽの出産手当金は、証明のあと本人が電子申請もできる)
- 入金前に確認すること:会社がいつ申請するか/振込先の口座/上乗せの対象になっているか
申請前に確認したい3つのポイント
- 上乗せ13%は「夫婦それぞれ14日以上」が原則。配偶者が取れない事情(無業・自営業・産後休業中など)があるかを、会社に伝えておく
- 育休の延長は「保育所の申込書の写し」と「入れない通知」がセット。1歳の誕生日より前に、誕生日以前の入所希望で申し込んでおく
- 妊婦支援給付金は2回目の届け出を忘れずに。出産予定日の8週間前からできる。出産後でも届け出できる
ポイント
出生後は、出生届(14日)と児童手当(15日)の期限を先に確認してください。会社経由のものは、産休前に担当者と一度確認しておくとスムーズです。
給付で足りない分と、保険の考え方

残る負担を整理する順番
公的な給付でまかなえる分を知り、足りない分だけ備えるのが基本です。順番は次のとおりです。
- 公的給付でいくら入るか(この記事の早見表)
- 貯蓄で、入金までの空白期間と自己負担をまかなえるか
- 今入っている保険で、入院や万一の保障がどこまであるか
- それでも足りない分だけを、新しい保障で考える
今の医療保険で、出産にともなう治療が対象か確認
帝王切開や切迫早産の入院は、医療保険の給付対象になることが多いです。ただし、妊娠がわかってから加入すると、子宮や出産に関する保障に条件が付く場合があります。くわしくは「妊婦に保険は必要?」をご覧ください。
子どもが生まれたら考えたい死亡保障の目安
親に万一のことがあったとき、条件を満たせば遺族基礎年金を受け取れます(保険料の納付状況などの条件あり)。2026年度は、子1人を育てる配偶者で年1,091,100円です。会社員なら遺族厚生年金が上乗せされます。
生命保険で備えるのは、遺族年金と貯蓄で足りない分だけです。
ポイント
保険を足す前に、公的給付→貯蓄→今の保障の順に確認します。入りすぎを防げます。
よくある質問
育児休業給付金は、初回はいつ振り込まれますか?
全国共通の振込日はありません。会社がハローワークに申請し、支給が決まってから約1週間で振り込まれます。申請は原則2か月ごとで、初回の期限は育休開始日から4か月を過ぎた月の末日です。会社の提出時期で入金は前後します。
パート・派遣社員でも、出産手当金や育休給付金を受け取れますか?
雇用形態ではなく、加入している保険で決まります。勤め先の健康保険に本人(被保険者)として入っていれば出産手当金、雇用保険に入っていれば育児休業給付金の対象です。育休給付は、休業前2年間に11日以上働いた月が12か月以上あることが原則です。
自営業・フリーランスが出産のときに受け取れるお金はありますか?
あります。妊婦支援給付金10万円、妊婦健診の助成、出産育児一時金50万円、児童手当は働き方に関係なく対象です。
出産手当金と育児休業給付金は対象外です。一方、国民年金と国民健康保険の保険料は出産前後に免除されます。国民年金は2026年10月以降の月について、子が1歳になるまで免除が続きます。
育休給付金に税金はかかりますか?住民税はどうなりますか?
育児休業給付金と出産手当金は非課税で、所得税も住民税もかかりません。ただし住民税は前年の所得に対してかかるため、育休中も前年分の支払いは続きます。
出産費用が出産育児一時金より多い・少ない場合はどうなりますか?
一時金(原則50万円、対象外の出産は48万8,000円)を超えた分は、退院時に病院へ払います。少なかった場合は、差額を健康保険に請求すれば受け取れます。請求先は、自分(扶養の方は配偶者)が入っている健康保険です。
まとめ
- 妊娠から1歳までにもらえるお金・助成は7つ。月収30万円の会社員の例で、一時金・健診の受診券・1歳までの児童手当を含めて約339万円
- 会社員と自営業の差は、出産手当金と育児休業給付金。自営業には保険料の免除がある
- どれも申請が必要。出生後は出生届14日・児童手当15日。会社経由のものは産休前に確認
- 育休給付の初回は会社の申請後。原則2か月ごとなので、それまでの生活費を用意しておく
産休に入る前に、この記事を見返して手続きを確認してください。
出典
- 厚生労働省「育児休業給付について」「育児休業等給付の内容と支給申請手続」(2026年8月〜2027年7月の上限額)
- 厚生労働省「育児休業給付金・出生後休業支援給付金 Q&A」(令和8年8月版)
- 厚生労働省「育児時短就業給付金」
- 厚生労働省「育児休業給付金の支給対象期間の延長手続き」
- 厚生労働省「出産育児一時金について」/「健康保険法等の一部を改正する法律(令和8年法律第31号)の概要」
- 全国健康保険協会「出産手当金について」「出産育児一時金について」「給付の時効」「東京支部 各種申請書の処理目安」
- こども家庭庁「妊婦のための支援給付」「妊婦健康診査の公費負担の状況(令和6年4月1日現在)」「児童手当制度のご案内」「もっと子育て応援!児童手当」
- 法務省「出生届」
- 厚生労働省 第201回社会保障審議会医療保険部会(2025年10月23日)「医療保険制度における出産に対する支援の強化について」(令和6年度 正常分娩の平均出産費用)
- 厚生労働省・ハローワーク「雇用保険の基本手当 受給期間延長の申請期限の変更」
- 全国健康保険協会「電子申請サービスについて」「アップロード必要書類」「出産手当金に関するQ&A」
- 子ども・子育て支援法 第73条(妊婦のための支援給付の時効)
- 日本年金機構「国民年金の育児期間に係る保険料免除制度」「国民年金保険料の産前産後期間の免除制度」「遺族基礎年金の受給要件・年金額」
- 国民健康保険法施行令 第29条の7(産前産後期間の保険料の減額)
- 国税庁 タックスアンサー「No.1124 医療費控除の対象となる出産費用の具体例」「No.2030 還付申告」
※本記事の金額・制度は2026年10月15日時点の公的資料にもとづきます。雇用保険の上限額は毎年8月に改定されます。